運輸業の許可・報告・届出

Ⅰ 運輸業の許可の中身

1.自動車運送事業=「緑ナンバー」

①旅客自動車運送事業

 乗合(路線バス、高速バス、定期観光バス)、貸切

 特定(企業や学校の通勤・通学バス。「貸切」の扱いで行う場合もあります)

 乗用(=タクシー、ハイヤー)

②貨物自動車運送事業

 一般 特定、軽貨物以外の貨物輸送

 特定 特定の荷主の輸送のみを行う(現在新規はほとんどありません)

 軽貨物 軽自動車を使用する貨物運送

 ⇨旅客、貨物とも運ぶ内容により「限定」が付く場合があります。

  例 旅客:介護タクシー、民間救急車など

    貨物:霊柩車、コンクリートミキサー車、家畜運搬車、競走馬輸送車など

 

※霊柩車は自治体ごとに保有台数の上限があるため、「空き」がないと取得は難しいです。

 

2.貨物利用運送:自社では車両を持たず他の運送会社を「利用して」貨物運送を行う

 ※「傭車」を行う場合には貨物の許可があっても利用運送運送許可も必要になります!

  

 第一種 第二種以外(海運、鉄道、航空、トラックを利用)

 第二種 海運、鉄道、航空+集荷・配達を組み合わせた一貫輸送サービス

 外国人等による貨物利用運送(国際貨物利用運送を第一種、第二種で外国人等が行う場合)

 

 ⇨第一種は空港によくある「○○航空」「××エアカーゴ」など、港や空港、トラックターミナルや貨物駅のすぐ近くに営業所を構え、営業所で集荷・引き渡しを行う形態の利用運送です。

 

 ⇨第二種はお客様のところに直接集荷または配達するサービスを加えたもので、集荷・配達に使うトラックは自社(利用運送業者自身)のものでOKです。ただし集荷から配達を自社のトラックのみで行う場合には、利用運送でなく②の一般貨物(軽貨物)になります。

 

3.運送事業周辺の事業 倉庫業許可

 

Ⅱ営業を始めるまでの流れ

1.貨物運送事業(利用運送、軽貨物を除く)

※2度手続きが必要になります!=「許可」が下りただけでは営業を始めることはできません!

①許可申請→②役員試験(代表取締役のみ受験可能)③許可→④事業開始届→⑤営業開始

※事業開始「届」となっていますが、提出する帳票類がかなりあります。

※事業開始届提出後でなければ営業開始できません!

 

2.利用運送、軽貨物

①許可申請→②許可→③事業開始

 

3.旅客運送事業

※2度手続きが必要になります!=「許可」が下りただけでは営業を始めることはできません!

①許可申請→役員試験(代表取締役のみ受験可能)→許可⇒②運輸開始前各種届出→営業開始→事業開始届

※事業開始各種「届」となっていますが、提出する帳票類がかなりあります。

※貨物と異なり、営業開始後に事業開始届を提出します。

 

※申請から「許可」まで標準4か月~6ヶ月かかります!

 

Ⅲ 運送業の許可要件、費用、主な必要書類

1.貨物運送事業(利用運送を除く)の許可要件

①運行管理者、整備管理者がいること(軽貨物は不要です)

 ⇨どちらも国家資格になります。運行管理者は毎年3月、8月に試験があり、「貨物」運行管理者であることが必要です(「旅客」では不可)。

②営業所、休憩室、車庫があること

 ⇨営業所と車庫は離れていても構いません(貨物は5km(一部地域は10km)以内)

③保有台数

 軽貨物は1台、トラックは5台以上

④財産的基礎(軽貨物は不要です)

 事業計画を実行するための資金があること

 ⇨人件費、整備費は2か月分、車両費は全額(分割払い、リースは6か月分)、自動車重量税、自動車税自賠責保険・任意保険は1年分 など

 ⇨保険金額等の要件が別にあります。

⑤車両台数分の運転者がいること(軽貨物は不要です)

※軽貨物は②③のみです

 

2.利用運送の許可要件

①営業所・店舗があること(保管施設が必要な場合はそちらも)

②財産的基礎 300万円以上

③実際に貨物を運んでくれる業者(「実運送事業者」といいます)との契約があること

※その他湯利用する輸送モードによって追加要件があります。

(例:国際航空貨物の場合はIATAとの契約、など)

 

3.旅客運送事業の許可要件

①「安全統括管理者」

 貸切バス事業者は必ず1名以上必要です!

(乗合バス、特定輸送は200台以上、タクシーは300台以上の事業者のみ)

 ★安全統括管理者の要件

 (1)事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあること

  かつ、
 (2)次の1)~3)のいずれかを3年以上従事した経験を有する者

  (①から③を組み合わせて3年以上従事した者でも可能)
  1) バスの運行の安全の確保に関する業務
  2) バスの点検及び整備の管理に関する業務
  3) 1)・2)の業務等の輸送の安全の確保に関する業務を管理する業務
  ※ タクシー、トラック事業に係る業務については期間に算入できません

②運行管理者、整備管理者がいること

 ⇨どちらも国家資格になります。運行管理者は毎年3月、8月に試験があり、「旅客」運行管理者であることが必要です(「貨物」では不可)。

③営業所、休憩室、車庫があること

 ⇨営業所と車庫は離れていても構いません(旅客は2km以内)

④保有台数

 特定旅客は1台、貸切バスは5台(中型・小型のみの貸切バスは3台)、乗合バスは5台の常用+予備車1台以上

 ※ハイヤー、タクシーは地域により異なります。特に「準特定地域」などの、いわゆる「タクシーが余っている」と呼ばれる地域は新規参入が難しい状況です。

 ※限定タクシー(患者輸送、介護など)は1台以上ですが、法人に限られます。

⑤財産的基礎

 事業計画を実行するための資金があること

 ⇨人件費、整備費は2か月分、車両費は全額(分割払い、リースは6か月分)、自動車重量税、自動車税自賠責保険・任意保険は1年分 など

 ⇨受ける許可によって保険金額等の要件が別にあります。

⑥車両台数分の運転者がいること

 

4.国に納める費用【登録免許税】

①旅客:乗合・貸切は9万円、乗用・特定は3万円

②貨物:一般は12万円、特定は6万円

③利用運送:第一種は9万円、第二種は12万円

 

5.必要書類

たくさんあります…また、申請書に記載する内容を裏付けする書類(図面、契約書など)が必要になります。さらに裏付け書類には必要な文言で記載されているか(会社登記簿の「目的」欄の登記のされ方)や有効期限(発行から3か月以内など)があるものもあります。